日本プロ野球(NPB)にやってくる外国人選手は、そのキャリアや背景もさまざまです。ただ単に「パワーヒッター」「速球派投手」といった能力面だけでなく、彼らがどのような経緯で日本にやって来るのかを知ると、また違った見方ができます。ここでは、その背景に注目してみたいと思います。
メジャー経験を持ちながら再起をかける選手
NPBにやって来る外国人の中で最も多いのが、「メジャーリーグで一度はプレーしたが、定着できなかった選手」です。
MLBは世界最高峰のリーグであり、競争は熾烈です。ちょっとした不調やケガ、若手の台頭で居場所を失うケースも少なくありません。そうした選手が、キャリアを取り戻すために日本を新天地に選ぶことがあります。
マイナーで燻っていた選手
アメリカのマイナーリーグには才能ある若手が数多くいますが、その中でメジャーに上がれるのはごく一握りです。
AAAで好成績を残しても昇格できない、あるいはチャンスが与えられない。そうした状況で「NPBからのオファー」は大きなチャンスになります。
日本はメジャーに次ぐ“世界第2のプロ野球リーグ”ともいわれるため、マイナーに留まるよりもNPBで挑戦する方が、キャリア的にも収入的にもプラスになるのです。
韓国・台湾・メキシコなど他リーグ経由の選手
NPBにやってくる外国人は、必ずしもアメリカ経由ばかりではありません。
近年では韓国プロ野球(KBO)、台湾プロ野球(CPBL)、メキシカンリーグ、キューバリーグ等で実績を残した選手が日本にやって来るケースも増えています。
MLB挑戦への土台にするため、もしくは日本でジャパニーズドリームを掴むため。様々なビジョンを描いて日本へやってきます。
キャリア終盤のベテラン
中には、メジャーで長年活躍し、その後キャリアの晩年を日本で過ごす選手もいます。
すでに大きな実績を持っており、知名度も高いため、来日時は話題性抜群です。ファンにとっては「生きる伝説」を間近で見られる貴重な機会でもあります。
ただし、年齢による衰えがあるため、必ずしも全盛期のような活躍を見せられるわけではありません。それでも、プロフェッショナルとしての姿勢や経験はチームに好影響を与えることが多いです。
将来のMLB逆輸入を狙う若手
最近では、10代~20代前半の若い外国人選手が日本にやって来るケースも出てきました。
彼らは「NPBで活躍してメジャーに挑戦する」ことを目標にしており、逆輸入型として評価される可能性があります。
過酷なマイナーリーグで過ごすよりも、育成環境が整い、安定して出場機会を確保してもらえるNPBに魅力を感じる選手が多くなってきたということです。
これはかつての「日本でキャリアを終える」という流れとは異なり、新しい時代の外国人選手の背景といえるでしょう。
年俸が高すぎない選手
これまではMLB側の立場で見ていきましたが、NPB球団が外国人選手を雇う時に大事になってくる視点が「年俸を払えるかどうか」です。
ある程度、NPB球団の年俸の相場は決まっているので、そこに収まる選手でないと物理的に契約できません。
現在NPB最高年俸と言われているのが、ソフトバンクのオスナ投手で推定年俸12億7000万円。(2025年度時点)
この額を大幅に超える選手を契約するのは至難の業です。
例えばニューヨークメッツのフアン・ソト選手は推定年俸76.5億円、ニューヨークヤンキースのアーロン・ジャッジ選手は推定年俸60億円。彼らがここまでの大型契約よりも日本を選ぶようなことがあれば余程のことです。
不祥事を起こした選手
MLBで十分の実績を残していながら、不祥事を起こして試合に出られなくなり、NPBでプレーする選手もいます。
NPBでは到底抱えきれない年俸の選手が格安で契約できるとなれば、それに飛びついてしまうNPB球団がいるのも理解できます。
ただ、ここに関しては倫理感の部分で賛否が出るところです。MLBは不祥事に厳しい、NPBは不祥事に甘いということになるとリーグの「格」が問われます。
日本に興味がある選手
若手中堅ベテランに関係なく、日本の文化そして日本の野球に興味がある選手はNPBにやってきます。
また、そういった選手は日本野球に適応しやすいです。
なぜ、国際野球で日本が無類の強さを発揮するのか、ベースボールと野球の違いは何なのか。これらを学ぶことによって自身のキャリアアップにも結び付きます。
国交問題がある選手
リバン・モイネロ投手やライデル・マルティネス投手。彼らはキューバ出身の選手で、実力的にはMLBで活躍しても何らおかしくありません。
それなのに現在もNPBで活躍している背景はキューバとアメリカの国交問題にあります。キューバは社会主義国、アメリカは資本主義国。キューバ出身の選手がMLBで活躍してもそこで得た大金はほとんどキューバ政府に流れてしまうためアメリカ側がキューバ選手のMLB受け入れを断っています。
キューバ選手がMLBに挑戦するには、「亡命」という悲しい選択をするしかありません。そうすることで活躍すればアメリカンドリームが手に入るのも事実ですが。
国家公務員扱いで日本へやってくるキューバ選手は、こういった背景も持ち合わせています。もしもキューバとアメリカの国交問題が良好であれば、デスパイネ選手、モイネロ投手、マルティネス投手のようなキューバを代表する選手達を日本で見ることはできなかったでしょうね。
まとめ
NPBにやってくる外国人選手の背景には、次のようなパターンがあります。
- MLB経験があるが定着できず、再起をかける選手
- マイナーで燻り、日本を新天地に選ぶ選手
- KBO・CPBL・メキシカンリーグなど、他リーグで実績を積んでから来日する選手
- キャリア晩年に挑戦するベテラン
- NPBをステップにして再びMLBを目指す若手
- 年俸が高すぎない選手
- 不祥事を起こした選手
- 日本に興味がある選手
- 国交問題がある選手
こうした背景を知ると、外国人選手の物語がより立体的に見えてきます。「なぜ日本に来たのか」という視点から彼らを追うのも、プロ野球観戦の楽しみ方の一つだといえるでしょう。
コメント
こちらの動画の中でモイネロ選手がメジャーリーグへの憧れを語っています
長期契約が終わったあと、もしかしたら何かあるのかもしれません
https://youtu.be/PFhQaqVSgQ0?si=n3Xq7HfM5bW1HjDG
コメントありがとうございます!そして補足ありがとうございます!!!覚悟はしておかないといけませんね…。