今回は「ホークス栗原陵矢選手の捕手再転向はあり得るのか!?」というテーマで考察を進めていきます。
2025/11/28(木)に行われたゴールデングラブ賞の会見時に栗原選手が語った「捕手でゴールデン・グラブ賞を獲りたい」という言葉。
この言葉が私はすごく気になりました。
オールスター前も「捕手がしたい」と語っていたので、これは単なるリップサービスではないのかもしれません。
彼が再びマスクを被る日は来るのでしょうか。
野球人生を変える怪我
栗原選手は2014年度ドラフト2位でホークスに入団。
高校No.1捕手として注目を集め、高校日本代表の主将&正捕手を務めたことによる高い評価でした。
その頃のホークスはチームの転換期。
小久保選手、松中選手、杉内投手、和田投手、川﨑選手…。
これらの一時代を築いた選手達から、松田選手、今宮選手、柳田選手、中村晃選手の時代へと変わっていくところでした。
再び和田投手、川﨑選手は戻ってきますが。
ただ唯一世代交代を図れていなかったポジションが捕手。
鶴岡選手や細川選手といった経験豊富な他球団の捕手をFAで補強して何とかやりくりしていました。
栗原選手にとっては良い時期に入団できたと思います。
ただ栗原選手が高卒3年目を迎えた2017年シーズンに、日本を代表する捕手がホークスから生まれます。
それが甲斐拓也選手です。
投球を後ろに逸らさない、盗塁は矢のような送球で高確率で刺す、打撃は粘り強い。
コツコツと積み上げてきたものが大きく花開き、正捕手の座を掴みました。
そこから甲斐選手はパワフルな打撃も身につけ、2024年シーズンまで正捕手の座を譲りませんでした。
甲斐選手が完全な正捕手になるまでに、栗原選手にもチャンスはありました。
ただ2018年の春季キャンプ時に栗原選手の野球人生を変える大きな出来事が起こります。
左肩脱臼の怪我です。
この怪我で栗原選手は長期離脱を余儀なくされ、その間に着実に経験を積む甲斐選手。
その2018年は甲斐選手が日本シリーズで6連続盗塁阻止を記録し日本シリーズMVPを受賞した年でもあります。(そして流行語大賞に「甲斐キャノン」がノミネート)
甲斐選手が正捕手になったことをきっかけに栗原選手は新たな道を探ることになります。
超が付く程の便利屋
甲斐選手が正捕手に定着したことで栗原選手の居場所が無くなるかと思いきや、そんなことはありませんでした。
彼には「打撃」という武器があったからです。
この打撃を活かすために本職の捕手だけでなく一塁手や外野手としても出場するようになり、2020年には前年度にゴールデングラブ賞のタイトルを獲得した内川聖一選手から一塁手のポジションを奪いました。
また、そのまま一塁手に収まるのではなく、チーム状況に応じてライトやレフトも守りました。
2021年からは、「ポスト松田問題」が一向に解決しないということで三塁手にも挑戦。
途中左膝前十字靭帯断裂の大怪我を含む度重なる怪我がありながら経験を積み、2024年には三塁手としてベストナイン・ゴールデングラブ賞のタイトルを獲得。
日本を代表する三塁手に成長しました。
捕内外どのポジションも起用に守り、どの打順にも収まり打撃を崩さない。
こんな便利な選手はいません。
そして、これからは三塁手を自分の城として守りぬくだけだと普通は思いますが、ゴールデングラブ賞の会見時に「捕手でゴールデン・グラブ賞を獲りたい」と入団時から変わらぬ思いを吐露。
もし、2025年度に2021年以来一軍出場の無かった捕手として活躍するようなことがあれば、それは伝説です。
捕手→一塁手&外野手→三塁手→捕手。
栗原選手の現在の応援歌は「輝く時だ 後世に語り継がれる 伝説を今から 作れよ栗原」ですが、まさにそれを体現することになります。
全ては甲斐選手次第
栗原選手が捕手に再挑戦するかの判断の前に、大事なことがあります。
それは甲斐拓也選手の動向です。
甲斐選手は2024年オフに国内FA権を行使しました。
行使した結果、
甲斐選手が他球団に移籍すれば、栗原選手が捕手再転向する可能性有り。
甲斐選手がホークスに残留すれば、栗原選手が捕手再転向する可能性無し。
こうなります。
甲斐選手がホークスにいる状況でわざわざ栗原選手が捕手に再挑戦すると、競争力が上がるというメリットはありますが、正三塁手がいなくなるデメリットの方が大きいです。
栗原選手の思い1つだけで簡単にポジション変更はできません。
侍のレギュラーを狙うなら捕手しかない
栗原選手は2024年シーズンで日本を代表する三塁手に成長しました。
2024年シーズンオフに行われたWBSCプレミア12でも正三塁手を務めあげました。
ただ、メジャーリーガーが名を連ねるWBCの舞台でレギュラーになれるかと言えば、それはまた別の話。
日本代表のフルメンバーを考えた時に、村上宗隆選手や岡本和真選手の名前は栗原選手よりも先に挙がるはず。
このままだと2026年のWBC代表にユーティリティー枠として選ばれることはあっても、レギュラーとして出場することができません。
栗原選手が侍のレギュラーとして出場したいなら、守るポジションは間違いなく捕手です。
レギュラーシーズンで打率2割台後半から3割、本塁打20本以上、OPS.800以上の打撃成績を残した上で、捕手の守備も安定していれば十分勝負できます。
オリックス森友哉選手、広島坂倉将吾選手、DeNA山本祐大選手、巨人大城卓三選手と「打てる捕手」はたくさんいるものの、彼らは岡本選手や村上選手のように本塁打を30~50発打つような選手ではありません。
もちろん守備を考えると甲斐拓也選手、オリックス若月健矢選手、ヤクルト中村悠平選手あたりもライバルになりますが、打撃面では栗原選手が圧倒的に上回っています。
安定を取るか、挑戦を取るか
甲斐選手がもし2024年オフに移籍という決断をしたとしても、栗原選手が捕手に再転向することは非常に大きな決断になります。
3年間のブランクを埋めようと捕手練習に打ち込んだ結果、打撃成績をガクッと落とす可能性があるからです。
それがチームにとっても、栗原選手にとっても最悪の展開です。
三塁守備は年々安定感を増してきており、それに比例するかのように打撃も良くなってきました。
守備が安定してきた分、打撃に割ける時間が増えてきたということです。
そんな三塁手のポジションを手放すのは、正直非常にもったいないです。
よって一般的に考えたら「安定」を取ります。
ただ、「挑戦」にもメリットはあります。
念願の正捕手を掴み、打撃で結果を残し、侍ジャパンに捕手として選ばれる。
この最高の結果を掴むためには、捕手に再挑戦するしかありません。
一度きりの野球人生。
チーム方針もあるので栗原選手の判断だけで再転向するのは難しいとは思いますが、悔いのない判断をしてもらいたいところです。
ホークスにとってのメリット
栗原選手が捕手に再挑戦するとなった場合、ホークス球団はメリットが大きいです。
なぜなら、現在「ポスト甲斐」が定まっていないからです。
栗原選手が捕手になることで「ポスト栗原問題」が生まれるのは事実ですが、「ポスト甲斐」よりは何とかなります。
2024/11/30時点で「ポスト甲斐」は海野隆司選手。
海野選手は守備に関しては安心して見てられます。
ただ、打撃面で課題があります。
他球団の捕手に比べて明らかに打力が劣っているので、他の選手がカバーしたとしても順位が1つ2つ変わります。
また、海野選手以外の捕手は全体的に一軍経験不足。
捕手として1シーズン50試合以上に一軍出場したことがある選手は、海野選手の他にベテランの嶺井博希選手しかいません。
打撃で結果を残している捕手の石塚綜一郎選手や吉田賢吾選手は、2024年シーズンで内野手・外野手としての起用のみ。
これらを見ても分かるように、3年のブランクがある栗原選手が捕手に再挑戦できる環境は整っていると言えます。
ポスト内川、ポスト松田とこれまで何度もチームの危機を救ってきた栗原選手なので、ポスト甲斐問題も解決してくれそうな気がします。
もちろん他の捕手も黙って栗原選手にポジションを譲るつもりは無いでしょう。
そこに競争が生まれます。
そして、栗原選手が抜けた三塁手のポジションを巡って新たに競争が生まれます。
外野手は柳田選手が主にDH出場になると仮定すれば1枠余るので、競争が生まれます。
捕手、内野手、外野手。
どのポジションの選手も結果を残せばレギュラーを掴めるチャンスが生まれるので、栗原選手の捕手再転向は可能性の1つとして考えておきたいところです。
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