2025年12月3日。福岡ソフトバンクホークスがキューバのトッププロスペクト、ジョナサンモレノ選手と契約したことが明らかになりました。
契約内容は育成入団で6年契約。長期的な視野で彼を将来の正遊撃手に育成する計画であることが窺えます。
今回のテーマはそんな彼に期待することです。
基本プロフィール
モレノ選手の基本プロフィールがこちら。
- 本名:モレノ・メデロ ジョナタン・ラモン
- ポジション:内野手(主に遊撃手)
- 投打:右投/右打
- 体格:身長171 cm、体重68 kg
- 年齢や背景:2025年時点で18歳の若手。2025年、U-18キューバ代表に選出。 (その時の背番号4)
どんな選手???
- 2025年に開催された国際大会(WBSC U-18 野球ワールドカップ)では、キューバ代表のショートとしてプレー。
- 初戦の南アフリカ戦では3打数2安打1打点、第2戦のイタリア戦では4打数3安打1打点、第3戦の日本戦では3打数無安打、第4戦のプエルトリコ戦では2打数無安打1四球、第5戦の韓国戦では3打数無安打。通算 “15打数5安打2打点1四球”、打率 .333という好成績を記録。
- 打撃はコンパクトかつ滑らかなスイングでミート力が高く、コンタクトに優れているとの評価。
- ただ、持ち味は何と言ってもその「守備力」
- メジャーリーグ関係者は「アメリカに来れば、数年後にはゴールドグラブ賞を獲得するかもしれない」「メジャーリーグ30球団すべてが注目する選手だ」「10代でこれほど優れた守備力を持つ選手は見たことがない」と称賛(参照)
- 並外れた守備範囲と、どんな体勢からでも矢のような送球を放るフィジカルの強さは既にメジャークラス。
- ショートをするために生まれてきたような選手。
獲得の背景
モレノ選手獲得の背景を探ります。
外国人野手のトレンド
ここ最近のNPB野球は「投高打低」が顕著に現れています。
過去を振り返ると、外国人選手は打てて当たり前の時代があって「助っ人外国人」と呼ばれていました。今はそうではありません。現在のNPBにおいて打つだけで許される活躍をしているのは日本ハムのレイエス選手ぐらいです。
良い投手を中心に守り勝つ野球を展開していく中で、野手に求められるのは打つことよりも「しっかり守れること」。モレノ選手が高く評価されるのは必然です。
ホークスの外国人枠は内野手
現在の福岡ソフトバンクホークスの野手陣を総合的に判断すると、全てのポジションが渋滞しています。簡単にレギュラーを獲れるポジションはありません。
その中でも強いて言うなら、「外野手」の層が厚く、外野から内野にコンバートされたり一塁手の練習を始める選手が非常に多いです。
また、「捕手」に関しては投手との綿密なコミュニケーションが必要とされるポジション。外国人選手が務めるのは、乗り越えなければならない障壁が多すぎます。
そうなると、勝負できるのは「内野手」になるのかなという気がします。その中でも二塁手や遊撃手といった広い守備範囲&身体能力が要求されるポジションですね。現在外国人選手で支配下野手はダウンズ選手ただ一人ですが、ダウンズ選手はまさに内野を全てこなせるユーティリティー選手です。
外国人枠5枠を全て投手にすることをできないので「投手4、野手1」という配分となり、その野手は消去法で内野手となります。
川瀬晃選手、野村勇選手、ダウンズ選手の次が欲しい
ホークスの遊撃手のレギュラーと言えば今宮健太選手。
2025年度は度重なる怪我で戦線離脱したその今宮選手の穴を埋めるべく、川瀬晃選手、野村勇選手、ダウンズ選手等次世代を担う内野手が奮闘しました。
ただ次世代を担うとは言っても、正直彼らは若手ではありません。2026年で川瀬選手は29歳、野村勇選手は30歳、ダウンズ選手は28歳を迎えます。3年後には全員30代の仲間入りです。そろそろどころか、今すぐにでも次の世代に台頭してもらわなければなりません。
プロ1年目に一軍で経験を積んだ庄子雄大選手や、高卒1年目から二軍で結果を残した石見颯真選手と宇野真仁朗選手。ドラフト1位の片鱗を見せつつあるイヒネイツア選手。育成選手の中にも将来有望な若手遊撃手がかなりいます。(山下恭吾選手、中澤恒貴選手、広瀬結煌選手)
その競争を勝ち抜いてこそ一流選手です。
モレノ選手は先ほども申し上げたように「ショートをするために生まれてきた選手」。身のこなしが同世代の選手の中で頭二つ抜けてます。ホークスはそういう選手を求めて、国内外にスカウトを配置しています。ようやく、今宮二世と胸を張って言える選手を獲得できたのではないでしょうか。
期待すること
以上を踏まえて、これからモレノ選手に期待することを「短期、中期、長期」に分類して紹介します。
まず短期的に期待することは「体づくり」。
野球選手は体が資本。活躍している選手は体の厚みが違います。キューバの大先輩モイネロ投手の入団時は、モレノ選手と同様にかなり細身の体。そこからしっかりトレーニングを積んで厚みのある体に成長し今やNPBでは敵無し状態です。
現在の体格が身長171 cmの体重68 kgなので、ここから約10キロ筋肉で増量を目指してもらいたいです。そうなると、今宮選手と同様の体格が完成します。
続いて中期的に期待することは「亡命しないこと&支配下登録」。
ある程度成長し、一軍でも活躍できるようになるとオスカーコラス選手のように亡命するキューバ選手も出てきます。そうなると、せっかく争奪戦を勝ち取ったホークスの頑張りが水の泡になってしまいます。
国交問題でMLBに挑戦できない背景があるキューバ選手ですが、何とか日本でスター選手になってもらいたいと願うのがホークスファンの性です。
最後に長期的に期待することは「ホークスで10年間ショートのレギュラーを担うこと」。
まさに今宮二世としての活躍を期待します。そこを目指すうえでは、できる限り早い段階での支配下登録が必須です。そして支配下登録されるとダウンズ選手との外国人枠争いや遊撃手のレギュラー争い等かなり熾烈な争いを余儀なくされます。10年ショートのレギュラーを張るためには、入団から3年以内にレギュラーを掴む必要があります。頑張って欲しいですね。



コメント