藤本監督の2年間をまとめてみた

ホークス考察
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今回は福岡ソフトバンクホークス,藤本博史監督の2年間をまとめました。

藤本監督がホークスを指揮した2022年と2023年。

チームは2位,3位と優勝を逃しました

SNSでは数え切れない誹謗中傷。

ホークスファン,プロ野球解説者の采配批判は止まりませんでした。

個人的には誹謗中傷はダメですが、采配批判に関してはチームを強くしたいという気持ちは同じなのであっていいことだと思ってます。

それが正しいかどうかは別として。

ただ、藤本監督だけに全ての責任を押し付けるような風潮が私は嫌いです。

そこで、

ホークスファン,解説者が采配批判をする理由。

藤本監督の葛藤。

他球団とホークス選手の比較。

これらを私なりに分析して、できる限り分かりやすくまとめてみました。

工藤監督最終年と藤本監督の2年間から今後にどう繋げていけるかというところが最大のテーマです。

2021~2023年をただの3年間にしないため、共に振り返っていきましょう。

藤本監督就任前の戦力

まずは藤本監督就任前の2021年について。

2021年度

2021年度のホークスは60勝61敗21分の4位でした。

この年は9回打ち切りルールだったため、引き分けが多かったです。

チーム防御率は3.25でパリーグ1位だったため、投手層が鍵になる通常の延長12回ルールであれば、もう少し順位は上だったかもしれません。

ただ、ホークス勢は投手部門、打撃部門共に、個人タイトルを獲得することができず、個の力不足を露呈しました。

それでもレギュラー2年目の栗原選手が成長し、
打率.275,本塁打21,打点77
新戦力のニックマルティネス投手が、
投球回140.2,防御率1.60,WHIP1.04

この2選手の活躍は非常に大きかったです。

2022年度は千賀投手の一年を通しての活躍で、マルティネス投手とのダブルエース。
栗原選手は4番打者として3割30本100打点をホークスファンの誰もが望みました。

藤本体制後の戦力

これから藤本監督体制に突入です。

2022年度

2022年度の開幕前は戦力流出が起こりました。
主要どころでは、マルティネス投手のメジャー移籍古谷投手窃盗による退団です。

古谷投手は日本人最速の160キロを投げる左腕で、将来はホークス左のエースとして活躍が約束されていた選手でした。

さらに開幕直後の栗原選手の怪我もチームとしては大きな痛手でした。
前年度のホークスの希望が2人も失われ、新戦力が必要不可欠な環境で藤本体制はスタートしたのです。

そんな中で、2022年度の最終成績は首位と同率の76勝65敗2分で2位でした。

凄いの一言です。

これには、今宮選手がキャリアハイの打率.296,牧原選手がレギュラーとして打率.301のキャリアハイ,千賀投手が規定投球回を投げ防御率1.94,三森選手の着実な成長等,元々一軍で活躍していた選手の頑張りが深く関わっています。

しかし、それだけではありません

主要な2022年の新戦力を振り返ります。

藤井皓哉

2022年のチームMVPを一人挙げるとするなら、8回の男を務め、登板数55,防御率1.12の成績を残した藤井投手です。

藤井投手はNPBから独立リーグを経て、再びNPBに戻ってきた苦労人です。

獲得のきっかけは、ホークス三軍に対しノーヒットノーランの投球を見せたことであることから、ノーヒットノーランの相手がホークスで良かったとつくづく思います。

フロントは最高の仕事をしました。

又吉克樹

中日からFAで補強した又吉投手は前半戦だけで31試合に登板し、防御率2.10と安定した成績を残しました。

後半戦は怪我の影響で試合に出られませんでしたが、もし出ていれば、優勝は間違いなかったでしょう。

野村勇

2021年ドラフト4位で入団した野村勇選手は即戦力の働きをしました。

打率こそ.239でしたが、本塁打10,盗塁10と野球の華のような活躍でした。

また、長打率.489は規定未到達ながら柳田選手以上の数字でした。

出塁率が.312とそこまで高くなかった分、OPSは.800に落ち着いたものの伸びしろを感じさせました。

大関友久

大関投手の2021年シーズンは一軍二軍三軍で結果を残しながら、登板機会に恵まれませんでした。

2022年藤本監督体制になってから、登板機会を増やし、101.1回を投げ防御率2.93と結果を残しました。

完封勝利2回と完投能力の高さも見せつけました。

ガンで戦線離脱する時期が無かったら、チームは優勝していたかもしれません。

正木智也

2021年ドラフト2位で入団した正木選手も即戦力の働きを見せました。

シーズン序盤はプロの投手に対応できず、二軍降格しましたが、再び一軍に上がってくると、対左を中心に適応能力の高さを示しました。

最終的な成績は打率.254,本塁打3,打点5,OPS.815です。

柳町達

柳町選手は二軍で結果を残しても、なかなか一軍での優先順位が上がらない選手でしたが、2022年は栗原選手、上林選手の怪我の影響で出場試合数が大幅に上昇しました。

最終的に107試合に出場し、打率.277,出塁率.357,得点圏打率.307と結果を残しました。

足がそこまで速くなく、本塁打も0というところで派手さは無いものの、選球眼の高さや巧みなバットコントロールによる流し打ちは相手投手の脅威であったに違いありません。

2023年度

さぁここから2023年度です。

4位から2位へ順位を上げ、2023年度は1位を狙うというところで、チームの大黒柱エース千賀滉大投手がメジャー移籍します。

そして、長らくホークスの打線を支えた
デスパイネ選手グラシアル選手のキューバコンビが退団しました。

この穴を埋め、さらなる戦力の上積みができれば、間違いなく優勝できると考えた球団フロントは80億円の大補強に乗り出します。

そうした中,2023年度のホークスのチーム順位は71勝69敗3分の3位です。首位とは15.5ゲーム差。

あれ?なんかおかしいですね。

2022年と同様、2023年度の新戦力がこちら。

有原航平

メジャー帰りの元日ハムエース、有原投手を3年15億円で獲得。

シーズン序盤は二軍での投球が続きましたが、チーム事情で交流戦から一軍に上がるとその後はエース級の活躍を見せました。

17試合に先発登板し、防御率2.31,平均7回以上投げています。

有原投手がずっと二軍で投げ続けていたら、きっと3位どころでは無かったはずです。

近藤健介

日本ハムから7年総額50億円の大型契約で獲得した近藤選手は期待以上の活躍でした。

チームの中心選手は今や近藤選手です。

今季の成績がこちら。

打率.303,本塁打26,打点87,出塁率.431,長打率.528,OPS.959,得点圏打率.373,失策1

どこをとっても超一流です。

スチュワート・ジュニア

6年契約5年目のスチュワート投手は今年ようやく花開きました。

14試合に先発し、防御率3.38の成績です。

結果は残らなかったものの、CS1stの一戦目に先発登板を果たしたことは大きな経験になりました。

ロベルト・オスナ

藤井投手が8回の男から先発へ。
モイネロ投手は9回よりも8回の方がいい。
そこで、ロッテから獲得したのがオスナ投手です。

1年6億5千万円の大型契約が安いと感じさせる抜群の成績を残しました。

今季成績は49登板で、

防御率0.92,セーブ26,被打率.173,WHIP0.69,与四球6

彼にセーブ機会を作るまでが大変で、セーブ数が伸びませんでした。

大津亮介

2022年ドラフト2位でホークスに入団した大津投手は、今年中継ぎとして戦力になりました。

46試合に登板し、防御率2.43の成績です。

三振を取るというよりは多彩な球種で打者の的を外す投球が目立ちます。

来年は先発ですね。

田浦文丸

プロ6年目の田浦投手は今年ようやく花を咲かせました。

嘉弥真投手の不調も重なり、対左に対して無くてはならない投手になりました。

45試合に登板し、防御率2.38の成績です。

2022年と2023年の違い

ホークスでは2022年と2023年で新戦力は同じくらい出てきているのに、チーム順位に差があるのはなぜでしょうか?

これは簡単な話です。

ホークスよりもロッテ、オリックスの方が
戦力を落とさず、戦力の大幅な上積みができたからです。

登板数や投球イニング,出場試合数を一旦無視して、「OPSと防御率」だけを注目します。

2022年から2023年度にかけての主な一軍成績プラスマイナスをざっくりと見ていきましょう。

<オリックス> プラス点
頓宮選手 OPS.751から.862,
森選手 移籍1年目,OPS.893
山下投手 防御率1.61,次世代の日本のエース
宮城投手 防御率3.16から2.27
曽谷投手 プロ1年目,防御率3.86
小木田投手 防御率3.14から2.19
セデーニョ選手 1年目,OPS.716
紅林選手 OPS.593から.695
小田選手 OPS.644から.753
山田投手 防御率4.35から1.15
山﨑投手 防御率3.00から2.08
吉田凌投手 防御率8.10から3.24
東投手 防御率4.85から2.06
野口選手 OPS.561から.633
太田選手 OPS.538から.718
宜保選手 OPS.400から.623

<オリックス> マイナス点
吉田正尚選手 メジャー移籍
ワゲスパック投手 防御率2.97から5.77
阿部投手 防御率0.61から2.70
本田仁海投手 防御率3.50から6.34
近藤大亮投手 防御率2.10から5.11
黒木投手 防御率2.36から6.58
福田周平選手 OPS.647から.508
安達選手 OPS.669から.429
西野選手 OPS.690から.509
大城選手 OPS.689から.601

<ロッテ> プラス点
西村投手 移籍1年目,防御率1.25
東妻投手 防御率6.75から2.91
種市投手 防御率9.00から3.42
藤岡選手 OPS.456から.741
池田選手 OPS.227から.731
角中選手 OPS.614から.861
ポランコ選手 移籍1年目,OPS.762
石川慎吾選手 移籍1年目,OPS.837
メルセデス投手 移籍1年目,防御率3.33
ペルドモ投手 1年目,防御率2.13
高野投手 1年目,防御率1.64
坂本投手 防御率4.15から3.21
岡選手 OPS.698から.788
カスティーヨ投手 ロッテ1年目,防御率3.12
鈴木昭汰投手 防御率7.30から2.76
中村稔弥投手 防御率8.03から2.31
中森投手 防御率3.54
澤田投手 防御率1.08
大下選手 移籍1年目,OPS.734
国吉投手 防御率1.80から0.00
藤原選手 OPS.524から.608
和田選手 OPS.496から.784

<ロッテ> マイナス点
石川歩投手 防御率2.93から今季登板0
美馬投手 防御率2.91から4.76
東條投手 防御率2.08から7.45
小野投手 防御率1.99から4.66
中村奨吾選手 OPS.746から.630
八木投手 防御率3.63から18.00
井上選手 OPS.767から.528
荻野選手 OPS.811から.613
髙部選手 OPS.666から今季出場0
守護神オスナ投手退団
先発の一角ロメロ投手退団
中継ぎゲレーロ投手退団

<ホークス> プラス点
近藤選手 移籍1年目,OPS.959
有原投手 移籍1年目,防御率2.31
大津投手 プロ1年目,防御率2.43
田浦投手 防御率9.64から2.38
オスナ投手 移籍1年目,防御率0.92
スチュワート投手 昨季登板0~防御率3.38
笠谷投手 防御率6.35から1.59
嶺井選手 移籍1年目,OPS.663
甲斐選手 OPS.498から.602
井上選手 OPS.712

<ホークス> マイナス点
津森投手 防御率2.91から3.51
和田投手 防御率2.78から3.24
石川柊太投手 防御率3.37から4.15
森唯斗投手 防御率2.62から4.60
藤井投手 防御率1.12から2.33
川瀬選手 OPS.660から.588
主力のデスパイネ選手とグラシアル選手退団
戻ってきたデスパイネ選手 OPS.276
エース千賀投手メジャー移籍
今宮選手 OPS.761から.670
牧原選手 OPS.739から.604
周東選手 OPS.688から.602
野村勇選手 OPS.800から.562
栗原選手 OPS1.215から.690
正木選手 OPS.815から.205
先発レイ投手退団
上林選手 OPS.745から.456
東浜投手 防御率3.11から4.52
武田投手 防御率2.57から3.91
泉投手 防御率3.72から16.88
嘉弥真投手 防御率0.99から5.25
田上投手 防御率2.45から一軍登板0
谷川原選手 OPS.684から.538
渡邉陸選手 OPS.909から今季出場0
増田選手 OPS.764から.528

オリックス(プラス16名,マイナス10名)
ロッテ(プラス22名,マイナス12名)
ホークス(プラス10名,マイナス25名)

それぞれの選手の成績の上がり具合、下がり具合が異なるにしても、ホークスはマイナスがプラスを15名も上回る状況で強くなる方が難しいでです。

2022年はゲーム差無しで優勝したオリックスはプラスがマイナスを6名上回り2023年度は圧倒的優勝。

ロッテの2022年度は首位に7.5差付けられて5位だったのが、2023年度はプラスがマイナスを10名も上回り2位です。

ロッテとオリックスのゲーム差がさらに開き15.5ゲーム差になったのは、ロッテよりオリックスの1人当たりのプラス具合が大きかったということです。

確かに首位打者頓宮裕真選手、FAの森友哉選手、次世代の日本のエース山下舜平大投手東晃平投手と圧倒的な存在感を放つプラス要素が多かったです。

藤本監督の采配

2022年よりも2023年の方が全体的にホークスの選手の数字が落ちているということが分かった上で、藤本監督の采配を細かく見ていきましょう。

投手起用

2022年度

2022年の藤本ホークスの投手テーマは、
「先発の柱を育成する」です。

まぁ私が勝手に考えたことですが(笑)

2022年オフにエース千賀投手がメジャー移籍することは分かりきっていたことなので、先発の柱は最重要課題でした。

監督が目を付けたのは、
背番号40、杉山一樹投手

最速160キロのストレートを投げる本格派右腕で、ポテンシャルはチームトップクラスです。

2022年度、彼は防御率6.80ながら先発9登板,中継ぎ1登板の登板機会を得ました。
二軍で突出した成績を残していたわけでもないので、完全なお気に入り枠です。

この采配をどう思うかは人それぞれ。
私は支持します

2021年度の被打率は.159で奪三振率は10.50。加えて四球も多い。

この投手が千賀投手の後釜になるしかないと思いました。

しかし、杉山投手はまとまろうとしてなのか、速球のスピードを落とし、四球を減らしました。
その結果、被打率は.278まで高くなり、奪三振率も7.87に落ちました。
結局、藤本監督のお気に入り采配に即効性はありませんでした。

また、2021年は中継ぎとして44試合に登板した板東投手を2022年シーズン途中から先発調整させました。この采配がハマり、後半戦には先発陣の一角として活躍しました。

その他にも森投手や2022年オフには藤井投手など、先発ができる投手を増やそうという取り組みは藤本監督になってから始まり、先発が不足しているホークスにとって効果は高かったです。

2023年度

2023年の藤本ホークスの投手テーマは
「とにかく優勝する」です。

2022年に多くのチャンスを与え、2023年の活躍を期待した杉山投手が怪我。
フロントからは大補強で10ゲーム差付けての優勝を期待されている。

余裕を持って育成している場合ではないということで、藤本監督は攻めの采配から守りの采配になりました。

この守りの采配を私は支持しません

守りの采配とは未確定要素をできる限り排除する采配のことです。
つまり実績が全てということです。

開幕ローテーションを決める際も、まず実績のある東浜投手、石川投手は確定。
和田投手も投げられそうだと思えば、即開幕ローテ確定。

開幕先発ローテーション6人の内、3人がベテランとなりました。

3人が開幕ローテに入ること自体は問題ありません。ただ、軸に据えることに問題があるのです。

オリックスの山本投手と宮城投手は通算防御率1点台2点台の投手です。

これらの投手に投げ勝つためにはとんでもない新戦力を生み出すしかありません。

だから、いろんな投手を一軍で試して、とんでもない投手を探す必要がありました。

開幕投手に大関投手、二戦目に藤井投手を持ってきた采配は素晴らしいと思いました。
ただ、それ以降、QS率パリーグ6位、先発防御率パリーグ5~6位のチームを変える行動に出ませんでした。

2023年度,開幕ローテーションに入らなかったものの一軍先発起用された投手一覧がこちら。

武田投手,森投手,ガンケル投手,有原投手,板東投手,スチュワート投手,松本晴投手

先発起用されたのは、たったの7人だけです。

先発が充実しているオリックスでさえ11人いました。(内1人は宮城投手)
普通はこの数字が逆になっていないとおかしいです。

オリックスは二軍で登板回数の多い支配下投手がもれなく全員先発登板しています。
対するホークスは木村光投手、田上奏大投手すら一軍で先発のチャンスを貰っていません。

実績重視の投手起用は先発だけに留まりません。

キャンプから強気な投球を続け開幕一軍に選ばれた古川投手の今季初登板は開幕4戦目の4/4。
そこから中16日あけて次の登板は4/21でした。
こんな起用で状態をキープすることの方が難しいです。

松本晴投手の2023年シーズンはじっくり先発調整したのちに一軍初先発を果たしましたが、キャンプでは大津投手と同等の素晴らしい投球を見せつけていました。特に、対外試合がスタートしてからは完璧な内容でした。

この投手が今頃ブルペンで欠かせない投手になっていたら、モイネロ投手がいなくなってもバタつくことは無かったと思います。

少なくとも、藤井投手を中継ぎから先発に転向させて、また中継ぎに戻すことはしなかったでしょう。

野手起用

続いて野手起用についてです。

2022年度

藤本監督は2022年開幕前のキャンプ中、
柳田選手、栗原選手、甲斐選手のレギュラー起用を明言しました。

結果的にこの三人は最悪のシーズンを送ることになります。

柳田選手と甲斐選手はレギュラー定着後最低の打撃成績、栗原選手は大怪我で出場試合数5

競争と位置付けられた選手の方が活躍しました。(今宮選手、牧原選手

バナザード選手のようになってくれたらと期待をかけた新外国人のガルビス選手は、開幕戦代打満塁ホームランをピークに当たりがピタリと止まりました。

オープン戦で打率.375,出塁率.412,長打率.813と猛アピールした野村勇選手は序盤は主に代走起用。
サードのポジションは同じく打率.345,出塁率.364,長打率.586と状態の良かったベテラン松田選手に譲りました。

それでも野村選手は少ない出場試合数で新人最多10本の本塁打を放ちました。

三森選手を一番セカンドで起用し続けキャリアハイの成績。

柳町選手も栗原選手が怪我で離脱となった際に、二軍で打ちまくっていたため、開幕二軍ながら栗原選手のポジションに収まり、上林選手の怪我もあってキャリアハイ。

プロ二年目の井上選手はキャンプでNo.1のアピールを続けていましたが、オープン戦で少し勢いに陰りが見えると二軍に落としました。

井上選手はその後、腰の手術もあり一軍出場が叶わず、最高のシーズンどころか最低のシーズンになってしまいます。

2023年度

2023年度のオープン戦ではしっかりアピールしたという選手が2022年に比べていませんでした。
強いて言うならば、育成の川村選手です。

若手のアピールが少ないならば、やる采配はただ一つ。

実績重視の選手起用です。

柳田選手,近藤選手,牧原選手,甲斐選手,今宮選手,栗原選手,中村晃選手の7人を固定しました。
怪我や極度の不調が無い限り使い続けました。

残りの2枠については、序盤は正木選手と周東選手、今は三森選手と柳町選手を主に起用。

栗原選手の怪我で枠が空いた8月ごろからは、リチャード選手野村勇選手、そして最終的に川瀬選手のポジションに。

牧原選手の怪我で枠が空いた9月ごろからは再び周東選手のポジションに。

9月は若手の井上選手がようやくプロ初出場を果たした月でもありました。

2023年度全スタメンポジション内訳はこちらからご確認ください。

そして、2022年度はガルビス選手でしたが、2023年度はアストゥディーヨ選手をよく起用しました。
アストゥディーヨ選手ともう一人の新外国人選手、ホーキンス選手はキャンプ中のアピールが素晴らしかったです。

2023年ホークスキャンプ 紅白戦&シート打撃成績はこちら↓

ただ、オープン戦からどちらも全く打てなくなりました。

そして、そのままシーズンが終わりました。

総合評価

藤本監督は就任時、一軍二軍三軍を見てきた経験から、長く強いホークスを目指すための世代交代を期待されていました。

その期待通り、2022年の投手起用では杉山投手を我慢強く起用したりと、世代交代を図ろうとする采配が見て取れました。

結果として、先発をできる投手は間違いなく増えました。

チームとしては、こういうことが言えます。

中継ぎから先発という伝統を良い意味で壊した

ただ、全体的な采配をみると、若手の芽を摘む采配が目立ちます。

同じような成績の場合、実績のある選手を起用
外国人選手を我慢して起用

若手選手が育たない

実績のある選手、外国人選手を複数年契約で獲得
選手枠がいっぱいになる

若手有望選手が流出する

  • 28~32歳の外国人選手にはある程度の打席数を与えないといけない
  • グッズ売り上げの多い人気選手は優先的に起用しなければならない

こういった裏事情があったかもしれないし、無かったかもしれません。

それは分かりません。

もしこのような規制の中で采配を行っているならば、仕方ない部分もあるかと思います。

ただ、この采配とフロントのチーム編成で、
ホークスの世代交代はさらに遅れました

最後に

藤本監督は1年目よりも2年目の方が保守的な采配が目立ちました。

80億円補強で優勝が義務付けられていたからです。

もし、育成を最優先事項にしていたらまた違った一年になっていたかもしれません。

チームの持続的な強さを考えた時も育成が重要です。

ただ、育成だけを考えてられないという部分も分かります。

ファンは毎年優勝を求めているからです。

フロントもファンも優勝を第一に考え、藤本監督も来季の指揮を勝ち取るためには優勝が必要。

優勝を目指さない理由はありません

この固定観念に捉われている限り、10連覇ははっきり言って無理です。

監督もフロントもファンも同じ方向を向いてこそ前に進むと思います。

ファンが優勝を第一に求める

フロントがとりあえず大補強

監督が実績を重視した選手起用

ファンが優勝を第一に求めない

フロントが育成優先のピンポイント補強

監督が将来性を重視した選手起用

私は後者の考え方が好きです。

日本ハムの新庄監督が監督就任時、「優勝を目指さない」という発言をされましたが、それに少し似てます。

優勝は目指すものの「絶対優勝」は考えません

リーグ3連覇を果たしたオリックスは優勝したものの、山本由伸投手のメジャー移籍を考え、新戦力の発掘を1年を通して続けました。

幸運なことにそれで選手が出てくるのが凄いですが、そういった環境づくりができているからこそ出てくる部分もあると思います。

ホークスは開幕早々に選手を固定。

実績のあるベテランが結果を残せずに結果3位。

成長しつつ優勝したオリックスと何にも変わらなかったホークス。

来年も同じような失敗を繰り返さないために野手は柳田選手,近藤選手以外は固定しない必要があります。

そんな中で「絶対優勝」理論は育成の弊害にしかなりません。

この考え方が一人でも多くの方に伝わり、フロントもファンも監督も同じ方向を向いた最高の形になる日を願ってます。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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