これまで計4回に渡って、山川穂高選手FAに伴う人的補償選手予想を行ってきました。
詳しくはこちら。
今回はその答え合わせです。
結果はもちろんですが、なぜそうなったのか、その結果どうなるのかという所まで考察していきます。
最終予想&結果
私が出した人的補償の結論は中村晃選手でした。
西武の一番のウィークポイントは打線。
プロテクトリストから外れると予想した選手の中で、総合的に考えて彼が適任ではないかと思いました。
しかし、結果は和田毅投手、
ではなく甲斐野央投手。
1日だけで情報が二転三転したことによって少々驚いています。
和田毅投手
西武がまず始めに人的補償に指名したのが和田毅投手?ということで、そうなった理由を考察していきます。
投手王国西武
西武の投手陣は今や12球団No.1といっても過言ではありません。
2023年度のチームQS率60.1%は12球団No.1。
先発が最も試合を作れるチームです。
それでいて、先発投手の平均年齢は12球団で最も若い。
詳しくはこちら。
若さと実力を併せ持つ先発陣。
武内夏暉投手や上田大河投手といった即戦力投手もそこにこれから加わる。
山本由伸投手が抜けるオリックスや、阪神といい勝負になります。
西武の狙い
投手、特に先発投手が充実している西武が和田毅投手を獲得した理由は気になるところ。
考えられるのは、以下の3点です。
- 戦力として
- 若手投手の育成
- 人間性
まず一つ目は戦力として。
5回まではほぼ完璧に抑える安定感。
ローテの合間で勝ちを拾うのにうってつけの人材です。
若い先発投手は長い回を投げてくれるため、中継ぎの負担は少なく、和田投手登板時に投手を多く継ぎこめます。
二つ目は若手投手の育成。
武内夏暉投手や羽田慎之介投手といった次世代の左エース候補。
彼らが得られるものは非常に大きいです。
高橋光成投手や平良海馬投手が2024年オフにメジャー移籍する可能性がゼロではないことを考えると、さらに次の世代を育てたいチーム状況ではあります。
西武は和田投手にゆくゆくはコーチ,監督として貢献してほしいという思いもあるのではないでしょうか。
最後に三つ目は人間性。
単純な人の良さという部分に加えて、野球に対する意識の高さは若手選手全体に良い影響を与えます。
それだけでなく西武球団のイメージの向上、そして人気選手獲得によるグッズ収益の向上等、様々なプラスが働きます。
和田投手の凄さ
和田投手は2024/1/12現在42歳。
2月には43歳を迎えます。
そんな投手が人的補償に選ばれる。
前代未聞の出来事です。
そして、そのことで球団に批判殺到。
「なぜプロテクトしていないんだ!」
これも前代未聞です。
因みに私のプロテクトリスト予想はこちら。
これも全て和田投手が残してきた結果がそうさせてます。
2023年度は2016年以来のシーズン100イニングに到達。
また、2023年レギュラーシーズンでホークスの連敗を止めた試合で先発した回数が下図のように1位でした。
有原投手と並ぶホークスの連敗ストッパーです。
小久保監督がカード頭に投げさせたくもなります。
ホークスがプロテクトリストから外した訳
ホークスが和田投手をプロテクトリストから外した1番の理由は「使い勝手」です。
2023年度はチーム内で2番目の勝ち星ということで、戦力ではありました。
ただ、42歳で毎週先発ローテの一角として回るのは難しいという部分。
一回の登板で5回までを投げることが多く、QS率が15%。
おそらくそんな投手をあえて優先する必要はないと判断しました。
また、チームの高齢化と目先の勝利のバランスを考えてのことでもあります。
川島慶三選手や高谷裕亮選手。
ホークスはまだまだやれそうなベテラン選手を構想外にしてきた過去があります。
主力にベテランが集中しすぎると、常勝軍団は築けません。
だから、若手の突き上げが足りない中でも、無理やりベテランを放出して若手が出場できる場所を与えています。
FA選手を獲得するということはそれに逆行することでもありますが。
だからFA選手を獲得して目先の勝利を追いつつ、世代交代を図りたいという思いで和田投手をプロテクトリストから外したとみています。
しかし、いざそのような結果になると、ホークスファンを中心に大批判が起こり、人的補償選手を変更???
あってはならない両球団での話し合いになったのでした。(日刊スポーツより)
甲斐野央投手
最終的に西武が人的補償に指名したのが甲斐野央投手。
そうなった理由を考察していきます。
想定外
甲斐野投手の人的補償は全く予想していないものでした。
まずプロテクトされていないという事実に驚きです。
参考にしなくてもよいですが、私が考えたプロテクトリストがこちら。
30代の選手は投手野手2名ずつで、残りの24名は10~20代の選手を選びました。
甲斐野投手をプロテクトリストから外してまで残したかった選手というのが未だに分かりません。
若手先発候補の松本晴投手でしょうか。
三笠GMの話によると、「救援陣の層の厚さ」を勘案してのリストだそう。
確かにホークスの救援陣の層は厚いです。
ただモイネロ投手、大津亮介投手の先発転向や泉圭輔投手のトレード等で、絶対的に安心できるかと問われれば不安が残ります。
甲斐野投手は一軍実績が豊富で、2023年シーズンは46試合で防御率2.53。
オスナ投手の影響もあり、四死球率は3.16まで改善しました。
しっかり勝ちパターンを担っていたわけではありませんが、チームに欠かせない投手の1人だったことに変わりないです。
まだ27歳で将来の守護神も狙えるような逸材。
ホークスファンとしてはホークスでその成長を見届けられないのが残念でなりません。
西武の守護神に
西武の先発陣は12球団No.1かもしれませんが、救援陣にはまだまだ改善点があります。
佐々木健投手や森脇亮介投手といった一軍実績のある中継ぎ投手が怪我で長期離脱。
守護神の増田達至投手の2023年シーズンは40試合で防御率5.45。
守護神を何とかしないと勝ち試合を負け試合にしてしまいます。
そこで、ジェフリーヤン投手やアルバートアブレイユ投手といった新外国人救援投手を獲得。
ただ本当は日本人投手が長い間守護神として君臨するのが外国人枠を考えても望ましいです。
ウィークポイントの野手に外国人選手を注ぎ込めるからです。
最速160キロの直球に高速フォーク。
こんな素晴らしい能力を持つ甲斐野投手は、守護神にうってつけの人材ではないでしょうか。
ホークスではオスナ投手という絶対的守護神がいて、藤井投手や松本投手等同じタイプの中継ぎ投手と勝ちパターンを争わなければならない状況。
そこから解放されると、西武の守護神として君臨することができます。
甲斐野投手にとっては間違いなくプラスです。
FAとはそういうもの
32歳のホームラン打者を獲得して、27歳の守護神候補を放出する。
こういうことが起こりうるのがAランクBランクのFA選手獲得時。
よってAランクBランク選手のFAはほぼトレードのようなものです。
ただ通常はFA選手を獲得した側に有利に働きますが、今回はそんなこともありません。
むしろ西武側にメリットの大きなトレードでした。
ここに関してホークスのフロント陣はしっかりと考えるべきです。
最後に一言。
発掘、育成、勝利。
今のホークスはこの中の「勝利だけ」を追い求めているから勝てていません。
発掘、育成が機能していないとも捉えられます。
また、「勝利だけ」を追い求めるからこそ、結果的に球団に対するファンの信頼を大きく失いました。
ホークスがこの負の連鎖を断ち切るためには、2023年ドラフトの選手達が一軍で暴れまくる必要があります。
もちろん球場に足を運びたいと思わせるあらゆる場面での「美しさ」も重要です。
山川選手と同様、ホークス球団もマイナスからのスタート。
もうこれ以上、下がることは無いと信じてます。
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