来季2026年度、11年ぶりに日本球界へ復帰することを決意した前田健太投手(現ニューヨーク・ヤンキース傘下所属)。彼のオフの動向には間違いなく注目が集まります。
そこで今回は前田健太投手が福岡ソフトバンクホークスに加入する場合を想定して、メリットとデメリットを整理してみました。
ホークスの未来を左右するかもしれない、この大型補強の想像を膨らませていきましょう。
※ホークスファン限定記事です。
ホークスにとっての前田健太投手
ホークスにとって前田健太投手の加入はどのようなメリット・デメリットをもたらすのでしょうか。
メリット
まずはメリットから。
経験値と実績のある右腕
- 日米通算165勝の勝ち星を積み上げ、国際大会やポストシーズンでの経験も豊富。
- 投げる体力を持っており、それでいて怪我にも強い(プロ入り後の長期離脱は一度だけ)。
- 未だ150キロ以上の出力をキープ。
先発ローテの安定化
- 2025年オフは有原航平投手や東浜巨投手がFA移籍する可能性アリ。
- 彼らの残留交渉がうまくいかなかった場合、先発補強は必須。
- 先発の穴埋めをBランク以上の国内FA選手(例えば柳裕也投手)で行えば人的補償が発生。
- 前田投手は、補強による人的補償が発生せず、一軍出場時に外国人枠を使うこともない。
若手への好影響
- MLB流の調整法やトレーニング理論、配球術など経験に基づく知識が豊富。
- 特に若手投手・捕手にとっては生きた教材となる。
試合以外での付加価値
- 同世代の柳田悠岐選手との共闘により、ファンやメディアの注目を集める。
- 前田画伯の一面もあり、集客やグッズ売上にも貢献できる。
デメリット
続いてデメリット。
年齢と故障リスク
- 2025年シーズンで37歳。肘の手術歴あり。
- パフォーマンス低下&故障のリスクは年々上がっている。
契約コストの高さ
- メジャー帰りの日本人投手は高額契約になりがち。
- ホークスにとって高額契約自体はそれほど苦にはならないと思うが、それよりも契約年数の長さの方が問題。場合によっては支配下枠を逼迫する。(松坂大輔投手、オスナ投手…)
成績の不確実性
- 近年MLBでは先発としての安定感がやや薄れつつある。
- 日本球界に戻っても「エース級」ではなく「ローテの合間」程度の働きにとどまるリスク。
- そもそも11年も日本球界から離れているため、日本野球に適応するのが大変。
若手の枠を奪う可能性
- ホークスが育成したい若手先発陣の登板機会を減らしてしまう恐れ。
- 出場機会に恵まれない若手投手が現役ドラフト等で他球団へ移籍し、そこで大覚醒を遂げるようであれば中長期的に見て大きな損失。
ホークスは前田投手獲得に動くのか
前田健太投手加入によるメリット・デメリットを踏まえた上で、ホークスが彼の獲得に動くのかを考察します。
結論、私は「獲得に動く」に1票を投じます。
大きな懸念点は「年齢」ぐらい。メリットがデメリットを大きく上回っています。先発投手を外国人選手で穴埋めしようとすれば外国人枠を1枠使ってしまいますし、Bランク以上のFA選手を獲得すれば人的補償が発生します。その点、前田投手は補強時のリスクが何一つありません。
若手の出場機会を減らす可能性もありますが、ホークスは優勝が義務付けられたチーム。若手を使って優勝を逃すより、どんな形でも優勝すればそれでいいんです(それがいい)。
2025年度は二軍で燻っているベテラン投手が多く(又吉克樹投手、武田翔太投手、濱口遥大投手等)、彼らの枠に前田投手が収まると考えれば、そこまでベテラン偏重のチーム編成にはなりません。(さらに有原航平投手と東浜巨投手はFA移籍の可能性)
有原航平投手の移籍が確実となれば、超好待遇の額&契約年数を提示するでしょうね。
前田健太投手にとってのホークス
これまでホークス球団視点でメリット・デメリットを述べましたが、ここからは前田健太投手にとってホークスへの移籍がどのようなメリット・デメリットをもたらすのかを述べていきます。
メリット
- 日米通算200勝に大きく近づく
- 金銭面・待遇面の良さは間違いない
- 常に優勝争いできる環境を味わえる
- MLB→ソフトバンクのキャリアを持つ選手は多数存在
- トレーニング環境・医療体制が充実
- セリーグの野球、MLBの野球、そしてパリーグの野球を経験でき、引退後のキャリアに繋がる
デメリット
- 古巣カープファンを含め、批判の声が出てくるのは間違いない
- 日本人は「移籍」に対して寛容になれない国民性がある(ホークス移籍は特に非難の的)
- 前田投手は既に一般人の何百倍何千倍何万倍ものお金を稼いでおり、わざわざ批判にさらされる必要は無い
- 常に優勝が義務付けられるチームでのプレッシャーは大きい
- 家族の生活拠点との兼ね合いが課題になる可能性
前田投手はカープに恩返しが済んでいる
前田健太投手は日本で9年、アメリカで10年、計19年のプロ生活を送ってきました。
日本での最初の9年間は広島東洋カープ。若くしてカープのエースとなり、日本を代表する投手へと駆け上がりました。2015年オフにポスティングシステムを利用してのメジャー移籍。広島カープは譲渡金として2000万ドル(約29億7000万円)を受け取りました。
前田投手がカープで過ごした9年間の総年俸は約12億5900万円。
広島東洋カープが前田投手のメジャー移籍で受け取った金額は約29億7000万円。
実質的にカープは年間約1億9000万円を貰いながら、9年間前田健太投手という大エースを抱えていたことになります。さらにグッズ売り上げや、前田投手が投げる試合のチケット売り上げ、テレビ出演も含めると前田投手1人だけでカープに莫大な利益をもたらしていることが分かります。
NPBからメジャー移籍した選手が再びNPBへ復帰する際は、お世話になった球団に戻ることが一般的だと言われます。前田投手も若い頃はたくさんのことをカープで学んだでしょう。ただ、それを差し引いても前田投手に関しては既に恩返しが済んでいると言えるのではないでしょうか。寧ろカープ球団が前田投手に恩返ししないといけないくらいです。
要するに、今後前田投手がどのような決断をしたとしても尊重されるべきです。
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