今回はNPB12球団の二桁勝利を記録した投手を調査しました。
なぜ二桁勝利投手を調べようと思ったかというと、そのチームのエースは誰?となった時に10勝という数字が非常に分かりやすいからです。
確かに勝ち星だけを見ると様々な弊害が出ます。
強いチームの方が勝ち星を増やしやすい。
中継ぎ投手でも10勝することがある。
イニングを消化してこそエース。
一旦それらを忘れてください。
調査内容
今回の調査内容は、そのチームで二桁勝利を初めて記録した投手です。
調査開始年度は2005年。
東北楽天ゴールデンイーグルスの球団創設年度に合わせました。
2005年以降にそのチームで初めて二桁勝利した投手なので、例えば2004年10勝,2005年10勝の投手は無効です。
例えば、ホークスで10勝した投手が、阪神に移籍して阪神でも10勝するとホークスと阪神の両方で名前が記録されます。
ホークス全体の二桁勝利投手に関してはこちらからご確認ください。
二桁勝利投手ランキング
2005〜2023年(19年間)のNPB12球団二桁勝利投手ランキングがこちら。
全体的に人数が少ないと私は率直に思いました。
1年で1人のペースで二桁投手が生まれると、19人になるからです。
一度二桁投手が生まれると、その投手が長く活躍するということなのでプラスに捉えておきます。
これから、この表を基にそれぞれの球団のエース事情を紐解いていきます。
※因みにここでは10勝投手をエースと評しています。
福岡ソフトバンクホークス
ホークスの二桁投手人数は12球団8位(12名)、生え抜き日本人選手12球団8位(7名)、生え抜き日本人選手割合12球団9位(58.3%)でした。
どの分野も低いですが、特に注目したいのは生え抜き日本人選手割合。
58.3%ということで自前でエースを育てるのが苦手なチームだと分かります。
それでもホークスは2005年以降、リーグ優勝6回,日本一7回。
ポスティング移籍を認めず、高年俸で投手の流出を防ぎ、先発の不安点を強力中継ぎ陣でカバー。
これが何とか強さを保ってきた要因です。
オリックスバファローズ
オリックスの二桁投手人数は12球団4位(15名)、生え抜き日本人選手12球団2位(11名)、生え抜き日本人選手割合12球団5位(73.3%)でした。
全体的に上位の数字が並びます。
自前でエースを育てるのが得意なチームです。
直近3年間(2021~2023年)はオリックスがパリーグ3連覇を果たしましたが、強さの一因は間違いなく先発投手の活躍です。
北海道日本ハムファイターズ
日本ハムの二桁投手人数は12球団1位(16名)、生え抜き日本人選手12球団2位(11名)、生え抜き日本人選手割合12球団6位(68.8%)でした。
全体的に上位の数字が並びます。
自前でエースを育てるのが得意なチームです。
二桁投手人数が多いのは投手の移籍が大きいです。
全16選手の内、68.8%にあたる11名が他球団に移籍してます。
ポスティングを容認し、年俸が高い選手を放出する球団体制がそうさせます。
もしも日本ハムにとんでもない資金力があったならば、最強チーム間違いなしです。
埼玉西武ライオンズ
西武の二桁投手人数は12球団1位(16名)、生え抜き日本人選手12球団1位(12名)、生え抜き日本人選手割合12球団2位(75.0%)でした。
12球団トップクラスにエースを育てるのが得意なチームです。
西武に関しては「山賊打線」と呼ばれる強力打線の時期があり、防御率が悪くても打線がカバーして二桁勝てる時代もありました。
また、日本ハムほどではありませんが16選手の内31.3%にあたる5名が他球団に移籍しています。
それが新たなエースを作る枠の余裕に繋がっています。
東北楽天ゴールデンイーグルス
楽天の二桁投手人数は12球団11位(8名)、生え抜き日本人選手12球団9位(6名)、生え抜き日本人選手割合12球団2位(75.0%)でした。
二桁投手の生え抜き選手割合は高いですが、そもそも二桁投手の人数が低いです。
つまりエースを育てるのが苦手なチームです。
優勝,日本一は2013年の一度だけ。
二桁投手がこれだけ少ないので致し方ないかなと思います。
千葉ロッテマリーンズ
ロッテの二桁投手人数は12球団8位(12名)、生え抜き日本人選手12球団9位(6名)、生え抜き日本人選手割合12球団11位(50.0%)でした。
どの部門でも下位なので、エースを育てるのが苦手なチームです。
2005年以降、2005年に一度優勝していますが、勝率1位に限るとゼロです。
佐々木朗希投手が来年凄い成績を残して優勝しそうな気もします。
読売ジャイアンツ
巨人の二桁投手人数は12球団1位(16名)、生え抜き日本人選手12球団5位(9名)、生え抜き日本人選手割合12球団10位(56.3%)でした。
生え抜き日本人選手は出てきていますが、同様に他球団の主力選手をFA等でしっかり獲得していることが分かります。
巨人と言えば「補強」のイメージしかなかったですが、思ったよりも生え抜き日本人選手が多く、少し印象が変わりました。
阪神タイガース
阪神の二桁投手人数は12球団5位(14名)、生え抜き日本人選手12球団5位(9名)、生え抜き日本人選手割合12球団8位(64.3%)でした。
可もなく不可もなくという印象です。
一つ言えるのは、阪神は他球団に比べて二桁勝利時の年齢が高いです。
藤浪投手の19歳を除き、全員が25歳以上です。
じっくり二軍で実戦を積んでから一軍で投げさせる球団方針なのでしょうか。
私はたまたまだと思います。
中日ドラゴンズ
中日の二桁投手人数は12球団5位(14名)、生え抜き日本人選手12球団2位(11名)、生え抜き日本人選手割合12球団1位(78.6%)でした。
二桁勝利の約8割が日本人選手ということでこれは素晴らしい数字です。
文句なしのエースを育てるのが得意な球団です。
2005年以降は落合監督時代に3度リーグ優勝を果たしています。
中継ぎ抑えも完璧で、投手を中心とした守り勝つ野球ができていたからこその結果です。
横浜DeNAベイスターズ
DeNAの二桁投手人数は12球団7位(13名)、生え抜き日本人選手12球団9位(6名)、生え抜き日本人選手割合12球団12位(46.2%)でした。
生え抜き日本人選手割合が一番低いのはDeNAでした。
生え抜きエースを育てるのは苦手なチームと言えます。
また、二桁投手13名の内、9名が横浜DeNAベイスターズ時代に達成されたものでした。
横浜ベイスターズ時代はBクラスが常連のチームだということもあり、10勝へのハードルが非常に高かったことが窺えます。
広島東洋カープ
カープの二桁投手人数は12球団8位(12名)、生え抜き日本人選手12球団5位(9名)、生え抜き日本人選手割合12球団2位(75.0%)でした。
どの分野も平均以上の水準です。
生え抜きエースを育てるのが得意なチームと言えます。
カープで該当する投手は外国人投手か生え抜き日本人投手しかいません。
マネーゲームをしない球団体制が存分に窺えます。
その生え抜き日本人の中でも77.8%が大学出身です。
2023年度のドラフト1位は青山学院大学の常廣羽也斗投手の指名を公言。
活躍の香りがプンプンします。
東京ヤクルトスワローズ
ヤクルトの二桁投手人数は12球団12位(6名)、生え抜き日本人選手12球団12位(4名)、生え抜き日本人選手割合12球団7位(66.7%)でした。
2005年以降、リーグ優勝3回,日本一1回のチームとは思えません。
二桁勝利人数は断トツの少なさです。
リーグ連覇した2021~2022年は二桁勝利ゼロ。
2015年は小川投手と石川投手の2人。
石川投手が2024年度も現役を続ける理由が分かります。
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