2025年12月9日に今年も現役ドラフトが行われます。福岡ソフトバンクホークスがどの選手を「現役ドラフト」に提出するのか、ホークスファンだけでなく全プロ野球ファンの間でも話題が高まりつつあります。
なぜホークスの提出選手に注目が集まるのか。
それは極めてシンプル。ホークスは層が厚いからです。他球団なら一軍で活躍できるポテンシャルを持ちながら、出場機会に恵まれない選手が数多くいます。
この記事では、ホークスが2025年度現役ドラフトに提出しそうな選手をポジション別に予想し、その理由を徹底解説していきます。
現役ドラフトの基本
現役ドラフトは、「出場機会に恵まれない選手の移籍機会創出」を目的とした制度。
特に以下の点が提出候補の判断材料になります。
- 一軍での出場機会が少ない
- 二軍でもポジションが渋滞している
- 若手の台頭で序列が下がった
- 球団として新陳代謝を進めたいタイミング
また、現役ドラフトに提出できない選手も存在します。それが以下の通り。
- 外国人選手
- 複数年契約を結んでいる選手
- 翌季の年俸が5000万円以上(ただし、1名に限り年俸5000万円以上1億円未満の選手を対象とすることができる。その場合は5000万円未満の選手を追加し3人以上の対象選手をリストアップする。)
- FA権を保有している、または行使したことがある
- 育成選手
- 前年の年度連盟選手権試合終了の日の翌日以降に、選手契約の譲渡によって獲得した選手
- シーズン終了後に育成から支配下契約となった選手
指名方式も独特で複雑です。
まず各球団が指名したい選手1名に投票(予備指名)を行い、最も多くの票を獲得した球団が1番目の指名権を獲得。最多得票の球団が複数となった場合、同年のドラフト会議におけるウエーバー順で指名権を決定。指名権を獲得した球団が予備指名を行った選手を指名し、指名権は選手を指名された球団に移行。同様の手順で、12球団が各1人を指名した時点で1巡目の指名を終了。
選手が指名された球団が既に指名を終えている場合、指名権は予備指名の得票順(同数の場合ウエーバー順)により移行先を決定する。
1巡目では、すでに指名を受けた選手と指名された選手の所属球団の選手を指名することはできない。予備指名の選手が上記の条件により指名できない場合、指名可能な別の球団の選手を指名する。また11番目に指名を行う球団は、12番目の指名順の球団の所属選手を指名しなければならない。
1巡目終了後、2巡目の指名意思を示した球団で2巡目の指名を行う。2巡目は参加球団の中で1巡目の指名の逆順で行われるが、参加球団は指名順になった段階で指名を棄権することもできる。2巡目では、すでに指名を受けた選手と2巡目において指名された選手の所属球団の選手と2巡目の指名を棄権した球団の選手を指名することはできない。
ホークスの現役ドラフトへの取り組み方
現役ドラフトの基本を踏まえた上で、ホークスがどのように現役ドラフトに向き合っているのかを簡単に解説します。詳しくはこちらをご覧ください。
過去3年の現役ドラフトでホークスから他球団へ移籍した選手がこちら。
- 2022年 大竹耕太郎 阪神タイガースへ
- 2023年 水谷瞬 北海道日本ハムファイターズへ
- 2024年 吉田賢吾 北海道日本ハムファイターズへ
大竹投手は阪神の強力先発ローテーションの一角。水谷選手は日本ハムの強力打線の主軸。吉田選手は移籍初年度に一軍で4本塁打を放つなど、覚醒の一歩手前。現役ドラフトで移籍した選手は1年で首を切られる選手が多い中、この3名はしっかり試合に出て結果を残しています。仮にホークスにいたとしても起用し続けたら活躍していたでしょうね。
このように、ホークスは現役ドラフトで「良い選手」を放出する姿勢を見せ続けています。見る人によっては「何をやっているんだ」という風にも写るでしょう。指名順位を上げようとしても、他球団がギリギリで戦力外を免れた選手ばかりを提出していたらその努力は水の泡になります。流出しても痛みが少ない選手を放出すれば、リスクが少ない上に戦力アップの可能性もあります。
ただ、これは現役ドラフトの本質(出場機会に恵まれない選手の移籍機会創出)という意味では正しい選択です。戦力が分厚い球団にとってはやりたくもない現役ドラフトですが、その現役ドラフトに対して前向きに取り組んでいる姿勢は最大級の評価をされるべきです。何より移籍する選手にとっては野球人生を変えてくれたホークス球団に感謝の気持ちでいっぱいでしょう。
ホークス球団がプロスペクト選手の大盤振る舞いをするので、一ホークスファンの私は現役ドラフトの直後から少なくとも一週間は落ち込みますね。正直あまり好きなイベントではないです。
2025年度現役ドラフト提出選手予想(投手編)
現役ドラフトに提出できるホークス選手の中から、投手3名野手3名の提出候補選手を紹介します。まずは投手から。
大山凌(右腕・23歳)
提出度:★★★☆☆
プロ2年目の若手右腕。球種が豊富で先発中継ぎ共に器用にこなす。特にスプリットが武器。2025年度前半は中ロングとしてチームに貢献。ただ、シーズン後半は不調で二軍落ち。状態が上がることなく、ポストシーズンでは1試合も投げれずにシーズンを終えた。大卒2年目ということで、現役ドラフトに選ばれるには早すぎる気もするが、吉田賢吾選手の例もあり無いとは言い切れない。
津森宥紀(右腕・27歳)
提出度:★★☆☆☆
パワータイプのサイド右腕。左打者のアウトハイにシュート軌道で伸びながら逃げていくストレートで三振を奪うスタイル。プロ2年目以降、コンスタントに一軍で40試合以上に登板していたものの、2025年度は22試合登板に終わる。そんな中、ホークスは2025年ドラフトで津森投手と同タイプのサイド右腕鈴木豪太投手を支配下3位指名。現役ドラフト指名順位を上げるためにまさかの提出あるか。
木村大成(左腕・22歳)
提出度:★★☆☆☆
独特な投球フォームと適度な荒れ球で打者を翻弄する中継ぎ左腕。スライダーの曲がりが大きい。期待の若鷹の1人ではあるものの、プロ4年間で一度も一軍登板が無いのは少し気になる。加えて奪三振率の低さ(二軍で4.70)も気になる。水谷選手のように、一軍実績が無いという理由で放出される可能性は僅かながらある。
2025年度現役ドラフト提出選手予想(野手編)
続いて野手の提出候補選手3名がこちら。
井上朋也(右打ち内野手・22歳)
提出度:★★★★★
2025年度から本職の三塁一塁以外で外野にも挑戦。レギュラー栗原陵矢選手の怪我に伴い出場機会を大きく伸ばすかと思われたが、そんなことはなく。シーズン終盤に二軍で状態を上げ、そのタイミングで一軍に呼ばれるも目立った成績は残せず。ホークスは2025年ドラフト5巡目で強打の内野手髙橋隆慶選手を指名。井上選手はドラフト1位で次世代の主軸として期待されてはいるものの、プロ5年目となりチーム内の優先順位も徐々に低くなってきている。
川村友斗(左打ち外野手・26歳)
提出度:★★★★☆
昨年2024年度は緒方理貢選手と共に外野守備と走塁を中心にリーグ優勝に貢献。数少ない打席でも結果を残した。ただ、2025年度は怪我で出場機会が激減。その間に、川村選手の代走守備固めの座には佐藤直樹選手が収まった。ホークスの外野手はただでさえ激戦区。川村選手より上の世代(柳田、近藤、周東、柳町)は圧倒的な存在感を放ち、同世代から下の世代も熾烈な争いを繰り広げている状況。少しの怪我が命取りとなる。川村選手は移籍した瞬間にその球団でレギュラーを獲りそう。
廣瀨隆太(右打ち内野手・24歳)
提出度:★★★☆☆
成長過程の右打ち内野手。本職は二塁で三塁や一塁もこなす。プロ2年目となった2025年度は守備力が飛躍的に向上。その分、持ち前の長打力は鳴りを潜めた。6大学野球で本塁打記録を作り、鳴り物入りで入団した強打の内野手が二軍で401打席に立って本塁打1本のみ。将来性を疑われてもおかしくはない。守って走れて打率を残せる二遊間内野手なら育成選手にも数多く存在。タイムリミットは長くてあと1年か。
ホークスが現役ドラフトで狙いそうなタイプ
2025年度現役ドラフトで、ホークスは以下のような選手を獲得すると予想されます。
即戦力の中継ぎ投手
ホークスのリリーフは整備されているように見えるものの、それは強力な3枚(藤井、松本、杉山)がいてくれたから。勝ちパターンの3投手を除くと、リリーバーの質は当然ですがガクッと落ちます。もう少しで殻を破りそうな投手は数多くいますが、即戦力として活躍してくれる投手が獲得できれば非常にありがたいです。
勝ちパターンの負担を減らせるくらいの活躍を見せ、尚且つタフな投手をホークスは求めています。
ホークスが過去3年に現役ドラフトで獲得した選手がこちら。
- 2022年 古川侑利 北海道日本ハムファイターズから
- 2023年 長谷川威展 北海道日本ハムファイターズから
- 2024年 上茶谷大河 横浜DeNAベイスターズから
やはり中継ぎ投手。上茶谷投手は先発として起用される見込みがあるものの、基本的には中継ぎです。そもそも現役ドラフトに提出される投手は中継ぎ投手が多いんですよね。ホークスが2022年に提出した大竹耕太郎投手は非常に珍しい例です。投手は中継ぎ、野手は二軍で燻っている中堅。そんなところです。
今年も普通にいけば中継ぎ投手になるんじゃないですか。支配下で実績のある中継ぎがヘルナンデス投手と大江投手ぐらいしかいないので、できれば左が良いですね。
捕手の打撃強化枠
2025年度のホークスは正捕手に苦しむ1年になるだろうと、大方の予想をされていましたがそんなことはありませんでした。海野隆司選手が143試合中半分以上の82試合でスタメンマスクを被り、ブロッキング&スローイング&リードで優勝に大きく貢献しました。
そんな海野選手は「打撃」に苦しみました。つまり、まだ隙はあります。
谷川原健太選手、嶺井博希選手、渡邉陸選手、大友宗選手、盛島稜大選手。彼らのように「打撃」にストロングポイントがある選手にとっては、大チャンスです。
また、現役ドラフトで仮に「打てる捕手」として期待されていながら、選手の層が厚くてなかなか試合に出れていない選手が提出されていた場合、ホークスが獲得に動く可能性は十分考えられます。
打てる捕手は希少なので、そんな選手を現役ドラフトに提出することは無いと思いますけどね。もしもの話ですよ。
まとめ|ホークスの現役ドラフトは「層の厚さゆえの有望株流出」に注意
ホークスは先ほども申し上げたように全体的に戦力層が厚いだけに、現役ドラフトでは「惜しい選手の流出」も起こりやすいチームです。出場機会に恵まれない選手のためにプロスペクト選手の大判振る舞いをするのもいいですが、それが後々自球団の首を絞めることにも繋がるのでほどほどにしてもらいたいなと思います。
だったら誰を出せばいいのかという問題になりますが、誰も出したくないです(笑)
今だったらひどく落ち込むのは誰ですかね?150キロ台中盤~後半のストレートを持つ尾形崇斗投手、木村光投手、岩井俊介投手は嫌ですね。彼らはきっかけ1つで終盤の大事な場面を任せて安心な投手になりますよ。すでに木村投手はその域に到達しつつあります。
山本恵大選手と石塚綜一郎選手は無いと信じてますけど、「守備」に重きを置くホークスが放出する可能性が1%ぐらいはあると思うとゾッとします。彼らはただ振り回すのではなく、じっくり球を選んで冷静に「四球」で出塁できる選手でもあるので、打線の厚みを増すためには無くてはならない存在です(石塚選手の場合は死球も)。個人的にはそんなに守備が悪いとは思わないんですけどね。
笹川吉康選手は王会長が手放さないので安心です。リチャード選手も本当は手放したくなかったと思いますよ。最初はただただ振り回していたのが、少しづつバットに当てる技術を覚えて、成績が向上してきました。一軍で大きく花開くのはもしかすると3年後かもしれませんが、それでも成長を見届けたい逸材です。




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