2024年ドラフトで福岡ソフトバンクホークスから三巡目指名を受けた富士大学の安徳駿投手。
最速152キロの空振りが取れるストレートと多彩な変化球で打者を打ち取る総合力の高い投手です。
そんな安徳投手のプロ1年目に期待することが今回のテーマです。
高校時代は136キロ
安徳投手は高校時代の最速が136キロと決して目立つ存在ではありませんでした。
富士大学に入って急成長した投手です。
その富士大学でベンチ入りしたのは3年春から。
つまりたった2年のアピールでドラフト3位を勝ち取ったことになります。
また、ドラフト候補選手は中継ぎ投手よりも先発投手の方が評価が高くなりがちという中で、安徳投手が先発に挑戦したのは4年春から。
先発中継ぎどちらもできるぞというところを見せつけはしたものの、他のドラフト候補に比べて実績は足りません。
これは1試合のインパクトがどれだけ凄かったのかを物語っていると言えます。
2010~2023年の大卒ドラ3右腕
2010~2023年にドラフト3位で指名された大卒右腕をまとめてみました。
2022年 田中千晴
2022年ドラフトで巨人から3位指名を受けた田中千晴投手。
国学院大学時代は189cmの長身から投げ下ろす最速153キロのストレートとフォークボールに注目が集まりました。
プロ入り後は1年目から一軍戦30試合に登板。
ただ2年目(2024年シーズン)は3試合登板に留まりました。
制球力の向上に努め、3年目は大きく飛躍したいところです。
2022年 渡辺翔太
2022年ドラフトで楽天から3位指名を受けた渡辺翔太投手。
九州産業大学時代は最速151キロのストレートに加え「パーム」という珍しい球種を操る投手として注目を集めました。
プロ入り後は1年目から51試合に登板し防御率2.40という好成績を記録。
2年目(2024年シーズン)も49試合に登板し防御率3.04を記録。
今やチームに欠かせない中継ぎ右腕です。
2021年 赤星優志
2021年ドラフトで巨人から3位指名を受けた赤星優志投手。
日本大学時代は東都二部で活躍し、21年春に2部MVP、最優秀投手、最優秀防御率のタイトルを獲得。
プロ入り後は先発中継ぎどちらも器用にこなす便利屋として活躍。
プロ3年間で64登板,34先発を記録するなど、今やチームに欠かせない存在です。(2024年シーズン終了時点)
2020年 佐藤蓮
2020年ドラフトで阪神から3位指名を受けた佐藤蓮投手。
上武大学時代は怪我の影響で20年秋しかリーグ戦での登板が無かったものの、188㎝の長身から繰り出される最速155キロの直球に注目が集まりました。
プロ入り後も右肘痛や腰痛に悩まされ2022年オフに育成選手として再契約。
ただ、2024年シーズンでは二軍での投球が評価され再び支配下選手に返り咲きました。
これからの巻き返しに期待です。
2020年 大道温貴
2020年ドラフトで広島から3位指名を受けた大道温貴投手。
八戸学院大学時代は先発として実績を残し、大学リーグでは20年秋に最優秀防御率のタイトルを獲得。
プロ入り後は先発中継ぎどちらもやっていましたが、2023年シーズンから中継ぎ一本に。
2023年は一軍戦48試合登板で防御率2.72という好成績を残しましたが、2024年は奮わずたったの4試合登板。
5年目となる2025年シーズンは勝負の年です。
2019年 伊勢大夢
2019年ドラフトでDeNAから3位指名を受けた伊勢大夢投手。
明治大学時代は最速151キロの速球を武器に先発中継ぎどちらでも活躍。
プロ入り後は1年目から中継ぎとして戦力に。
2022年は71試合登板で防御率1.72というとんでもない成績を残しました。
プロ通算238登板1先発のリリーバーが2025年シーズンからは先発に挑戦するそうです。
果たしてどうなるでしょうか。
2019年 杉山晃基
2019年ドラフトでヤクルトから3位指名を受けた杉山晃基投手。
創価大学時代は最速154キロのストレートを武器に先発として活躍し、リーグ戦では17年秋18年春にMVP、17年秋に最優秀投手、17年秋18年春に最多勝、17年秋18年春にベストナインのタイトルを獲得。
プロ入り後は一軍でも二軍でも結果を残せず、2023年オフに現役を引退しました。
2019年 津森宥紀
2019年ドラフトでソフトバンクから3位指名を受けた津森宥紀投手。
東北福祉大学時代はサイドから最速149キロのストレートを投じるパワーピッチャーとして注目を集め、リーグ戦では18年秋に最優秀投手賞のタイトルを獲得。
プロ入り後は1年目から中継ぎとして一軍戦14試合に登板。
そして2年目以降は一軍に定着し1シーズン40試合以上をコンスタントに投げ続けています。(2024年シーズンまで4年連続)
今やホークスに欠かせないリリーバーの1人です。
2019年 津留崎大成
2019年ドラフトで楽天から3位指名を受けた津留崎大成投手。
慶応義塾大学時代は小さいテイクバックから投げ込まれる最速153キロのストレートを武器に主に中継ぎとして活躍。
プロ入り後は1年目から自慢のマッスルカーブを武器に一軍戦33試合に登板。
ただその後は奮わず、2024年には先発にも挑戦してみましたがうまくいきませんでした。
2025年シーズンは今後のプロ野球人生を懸けた勝負の年になります。
2019年 村西良太
2019年ドラフトでオリックスから3位指名を受けた村西良太投手。
近畿大学時代はサイド気味から繰り出される最速152キロのストレートを武器に先発中継ぎどちらでも活躍。
プロ入り後は2022年に22登板するシーズンもありながらなかなか一軍に定着できず、2023年からアンダースローに挑戦。
ただそのアンダースローもうまくいかず、2024年オフに戦力外通告を受け育成選手として再契約。
2025年シーズンからは再びサイドスローで勝負するそうです。
2017年 ケムナ誠
2017年ドラフトで広島から3位指名を受けたケムナ誠投手。
日本文理大学時代は192㎝の長身から投げ下ろす最速152キロの直球に注目が集まりました。
プロ入り後は2020~2022にかけての3年間で1シーズン40試合登板を記録。
ただここ2年は一軍登板数を減らしてます。
2025年シーズンは復活のシーズン進化のシーズンにしていきたいところです。
2017年 蔵本治孝
2017年ドラフトでヤクルトから3位指名を受けた蔵本治孝投手。
岡山商科大学時代は最速151キロの力強いストレートで注目を集め、大学リーグでは17年秋に敢闘賞のタイトルを獲得。
プロ入り後は2年目となる2019年シーズンにプロ初登板を果たすなど8試合に登板しましたが、それ以降一軍登板はゼロ。
2021年オフに戦力外通告を受け、現役を引退しました。
2016年 高良一輝
2016年ドラフトで日本ハムから3位指名を受けた高良一輝投手。
九州産業大学時代は最速147キロの力強いストレートを武器に先発として活躍し、大学リーグでは15年春にMVP、15年春秋にベストナインのタイトルを獲得。
プロ入り後は二軍で全く結果を残せず、2年目オフにまさかの戦力外通告。
その後、社会人野球や独立リーグを経験し2020年オフに現役を引退しました。
2015年 井口和朋
2015年ドラフトで日本ハムから3位指名を受けた井口和朋投手。
東京農業大学北海道オホーツクキャンパス時代は最速149キロのストレートと落差の大きな変化球で注目を集め、大学リーグでは15年春にMVP、15年秋に優秀投手、13年春にベストナイン、12年春に新人賞のタイトルを獲得。
プロ入り後は1年目から一軍戦37試合に登板し、その後も日本ハムのブルペン陣を支えました。
ただプロ7年目8年目(2022年2023年シーズン)は一軍で結果を残せず戦力外通告。
その後オリックスに育成選手として拾ってもらい、2024年シーズンは結果的に一軍戦32試合に登板。
復活を果たしました。
2012年 鍵谷陽平
2012年ドラフトで日本ハムから3位指名を受けた鍵谷陽平投手。
中央大学時代は最速152キロのストレートと精密なコントロールを武器に先発中継ぎ両方で活躍。
プロ入り後は中継ぎとして活躍し、日本ハムと巨人のブルペン陣を支えました。
キャリアハイは2017年の60登板,防御率2.53。
2024年オフに現役を引退し、12年という充実したプロ野球生活に幕を下ろしました。
安徳駿投手に期待すること
安徳投手は「スピード、コントロール、多彩な球種」の全てを兼ね備えている投手なので、先発中継ぎどちらでも勝負できそうな感じはします。
ただ過去の大卒ドラ3右腕に中継ぎが多いのは確か。
一軍で先発として活躍しているのは巨人の赤星優志投手ぐらいです。
その赤星投手も先発一本で勝負しているわけではありません。
ということで、安徳投手はまず中継ぎとして勝負するのではないでしょうか。
ホークスのチーム事情を考えても、今は中継ぎの方が足りません。
2024年シーズンは守護神オスナ投手の不調&戦線離脱や、セットアッパー松本裕樹投手&藤井皓哉投手の戦線離脱でかなり過酷な状況でした。
その前にモイネロ投手&大津亮介投手の先発転向や、甲斐野央投手&泉圭輔投手の移籍も響いてます。
2025年シーズンから石川柊太投手がロッテに移籍するということで先発の補強も当然必要ですが、上沢直之投手を獲得に向かうという報道が出ているため、もしそれが実現すれば先発陣は厚みが増します。
同世代の投手である大山凌投手や岩井俊介投手と切磋琢磨しながら結果を残すことが、2025年シーズンは求められてくるのかなと思います。
2025年シーズンで良い内容&良い結果を残すことができれば2026年シーズンは先発のチャンスがやってくる。
そういうイメージです。
大津亮介投手、攝津正投手、千賀滉大投手、モイネロ投手。
ホークスに入団して最初から先発一本という投手はほとんどいません。
最初から一軍で先発登板ができるのは、武田翔太投手、東浜巨投手、前田悠伍投手、大場翔太投手等、ドラフト1位の特権です。
これまでを踏まえて、安徳投手のプロ1年目に期待することは「怪我無く一軍戦15試合登板」です。
岩井俊介投手の1年目の成績と同じです。
ホークスの選手層は非常に分厚いので、二軍三軍でどれだけ抑えていても一軍でのチャンスはそうそう訪れません。
岩井投手はキャンプからものすごいアピールをして、二軍でも結果を残しておきながら、レギュラーシーズンではたったの15試合登板。
これでも凄いことなんです。
まずは一軍プロ初登板。
その上で二桁登板。
もし30試合40試合に登板するようなことがあれば、2026年シーズンは先発転向の可能性が十分考えられます。
コメント