2024/7/30、福岡ソフトバンクホークスはヤンキース傘下3Aスクラントンのジーター・ダウンズ内野手(26)の獲得を発表しました。
背番号はアストゥディーヨ選手、バレンティン選手、そして川島慶三選手等が背負った4です。
今回は、ホークスが彼を獲得した理由、起用法、そして将来的に考えられることを具体的に考察していきます。
※あくまでも個人の見解です。
ダウンズ選手を獲得した理由
まずはジーター・ダウンズ選手を獲得した理由から。
私は少なくとも以下の3つがあるとみてます。
ウォーカー選手を半ば諦めた
2024年シーズン開幕時は主戦力として考えられていたウォーカー選手の不振。
これが開幕から8/6現在までずっと続いてます。
一軍で打てなくても二軍で打っていればまたいつかチャンスは訪れますが、二軍でも安定して打てていません。
8/6時点での二軍打撃成績が打率.203,本塁打5,打点16,出塁率.229,長打率.376,OPS.605。
守備面では全くと言っていいほど期待されていない中で、これだけの打撃成績しか残せていないとなると、一軍で起用されるのは現実的に厳しいです。
ホークスの外野手の層は厚く、ウォーカー選手より打って走って守れる選手がたくさんいます。
本当は一軍に上がってもおかしくない、佐藤直樹選手や石塚綜一郎選手が未だに二軍で調整しているのが何よりの証拠です。
主軸の柳田悠岐選手が怪我で戦線離脱している中でもこれだけの競争力があるので、ウォーカー選手の存在感は日に日に薄くなってます。
このままウォーカー選手に期待するよりも、新しく外国人選手を獲得してそっちに期待する方が、フロントの選択としては賢いです。
第三ショートが欲しい
ここから述べることは以下の記事の要約です。
ホークスは一軍の外国人枠を1つ余らせています。
外国人野手の1枠です。
2024年度も一軍ベンチ入り外国人選手枠はコロナ特例で5名。
その内、基本的にモイネロ投手、スチュワート投手、オスナ投手、ヘルナンデス投手の4枠は確定。
8/6現在、オスナ投手は戦列を離れていますが。
投手5名もしくは野手5名という登録はできないので、確定の投手4名を考えると、残りの1枠は野手となります。
この1枠にウォーカー選手がハマってくれたらという期待を抱いていたものの、先ほども述べた通り、打つ方で結果を残せていません。
育成野手に目を移しても、アルモンテ選手、オスーナ選手、シモン選手の主戦場は三軍四軍で、そこでもずば抜けた数字を残しているわけではありません。
彼らは16歳から20歳の超若手選手なので、そもそもまだ一軍でバリバリプレーする段階ではないです。
総合的に考えて、手っ取り早くチームの戦力を補強したいとなった場合は、外部から外国人選手を獲得するのが自然な流れです。
またホークス野手のウィークポイントを考えたところ、今すぐにここが足りないというポジションはありません。
ただ、他のポジションに比べてショートのバックアップが少ない気はします。
レギュラーの今宮健太選手と、それに次ぐ川瀬晃選手。
第一ショートと第二ショートはいるものの第三ショートの名前が挙がりません。
もちろん守備走塁だけを考えると野村勇選手の名前が挙がります。
ただ、今季の野村選手は一軍で未だ持ち前の長打力を発揮できておらず、打撃面でかなり苦しんでいる印象です。
そんな第三ショート第二ショートに名乗りを上げる存在、さらには今宮選手のレギュラーポジションを奪い取る存在が現れてくれたらチームにとってかなり大きいです。
戦力になるかの見極めを早くしたい
ウォーカー選手の不調、そしてショートのバックアップ不足。
以上が、ホークスが外国人ショートを求めていた理由です。
ただ、なぜこのタイミングで新外国人選手を獲得したのかは気になる所。
答えは簡単。
戦力になるかの見極めを早くしたいからです。
速球への対応はどうか、守備の安定性はどうか、走力はどの程度あるのか。
3Aで見た姿と、NPBの舞台で戦っている姿に相違が生まれる可能性はゼロではありません。
そこの答え合わせをする時間です。
もし、NPBで今後もやれるという判断になれば、次の年も契約すればいいですし、もし明らかに通用しないとなればまた次の年に新しい外国人選手を連れてきたら良いだけです。
とにかくこの1枠の外国人枠を有効に使いたいというフロントの気持ちが伝わってきます。
起用法
次に起用法について。
2024年シーズンと2025年シーズン以降に分けて考察していきます。
今季
まずは今季(2024年)から。
レギュラーポジションには今宮健太選手という絶対的ショートがいて、その選手が攻守にわたって結果を残しているので、ここが揺らぐことは無いでしょう。
また、二番手ショートの川瀬晃選手のポジションも、起用のされ方からして揺らぐことはないでしょう。
川瀬選手はショートのバックアップというよりも、内野全体のユーティリティーとしてチームに欠かせない存在です。
そうなると、ダウンズ選手は基本的にショートのバックアップとして二軍で待機する形になりそうです。
二軍でNPB投手の球に慣れながら、仮に今宮選手や川瀬選手が怪我で戦線離脱した際にいつでも行ける状態にしておくことが求められます。
来季以降
もし来季もダウンズ選手と契約した場合、球団としては彼にレギュラーポジションを脅かしてほしいという気持ちが当然あるはずです。
春季キャンプから猛アピールして今宮健太選手の牙城を崩すことができるかが注目ポイントです。
来季もショートのバックアップとして二軍三軍で控えているようでは、その次の契約はありません。
ユーティリティープレイヤーとして一軍ベンチに欠かせない存在になるか、もしくはショートのレギュラーとしてチームを引っ張る存在になるか。
ダウンズ選手の活躍次第でどんな形にもなり得ます。
将来的に考えられること
最後に、ダウンズ選手の加入によって、将来的にどのようなことが考えられるかを考察していきます。
宗山ドラフトからの撤退
2024/6/11にホークスの補強優先度の高さを1つの記事にまとめました。
詳しくはこちらをご覧ください。
そこでは、先発、遊撃手、捕手の3ポジションを補強優先度が高いポジションとして紹介してます。
その中でも先発と遊撃手は個人的に優先度が高めです。
遊撃手を補強したいとなった場合、2024年ドラフトで1人有力な選手がいます。
明治大学の宗山塁選手です。
彼はドラフト1位間違いなしと言われている選手で、怪我の影響で出場はしませんでしたが、2024年3月に行われた欧州代表との侍ジャパントップチームの強化試合に大学生として異例の選出を受けました。
この選手を指名するかの各球団の駆け引きはもう既に始まっています。
ここでまたダウンズ選手の話に戻ります。
ダウンズ選手が仮に今後ホークスのレギュラーショートとしてやっていけるという目処が付いた場合、ホークス球団はこの宗山ドラフトから撤退することが可能になります。
もちろん二遊間の層を厚くするために指名する可能性もありますが、余裕が全く違います。
絶対にくじを引き当てなければならないという状況から、引き当てれたら嬉しいなぐらいになります。
そして、遊撃手の即戦力選手を考えなくてよくなることで、将来的にエースポジションが期待できる先発投手の補強に目を向けることもできるようになります。
有名どころは関西大学の金丸夢斗投手や愛知工業大学の中村優斗投手。
どちらも宗山選手と同様、欧州代表との侍ジャパントップチームの強化試合に召集された将来有望な投手です。
どちらかを獲得できたなら大勝利の2024年ドラフトだったと言えるでしょう。
ダウンズ選手が活躍するだけでこんなにもホークスの未来は明るくなります。
野村勇選手は正念場
ダウンズ選手のプレー映像をいくつか見て、彼は野村勇選手にプレースタイルが似てると思いました。
強肩と俊足が武器で、パンチ力もある右打ちのユーティリティー内野手。
ただ打撃の確実性に課題。
まさに野村勇選手です。
野村選手は内野守備の安定感にも定評がある選手なので、ダウンズ選手の守備力がどれほどかはこれからじっくり見ていく必要がありますが、総合的に似ている選手なのは確かです。
差別化を図るとすれば年齢。
野村勇選手は1996年12月1日生まれで今年28歳、ダウンズ選手は1998年7月27日生まれの26歳。
2歳ダウンズ選手の方が若いです。
野村選手とダウンズ選手が全く同じ成績を残したとして、もしどちらかを残そうとなった場合、残るのはダウンズ選手です。
もちろんどちらも残るという可能性はありますが、個人的にその可能性は低いとみてます。
なぜなら、一軍に定着できていない中堅選手はフロントとしては切りやすいからです。
レギュラーショート、第二ショート、第三ショート、そして二軍で育成したい10代から20代前半の若手ショート。
このバランスが丁度良いので、緊急時以外でわざわざ第四ショート、第五ショートを囲っておこうとはなりません。
この第四ショート、第五ショートに該当する選手を入れ替えながらレギュラーショートの若返りを図っていくのが、プロ野球球団の一般的な戦力の整え方です。
ダウンズ選手が入団する以前のホークスのショートはレギュラーが今宮健太選手、第二ショートが川瀬晃選手、第三ショートが野村勇選手、10代から20代前半の若手ショートがイヒネイツア選手でした。
この第三ショートのポジションをダウンズ選手がまず狙ってくるということで、野村勇選手が正念場ということになります。
野村勇選手とダウンズ選手がどちらも2025年シーズンのホークスに残っているパターンは、現在第二ショートの川瀬晃選手を第四ショートまで追いやるぐらい活躍すること。
もしくは、どちらもそこそこ良い成績を残した上で、ホークス球団がドラフトで即戦力ショートを獲得できなかった場合です。
現状を考えると、野村勇選手とダウンズ選手の一騎打ちという見方が自然な流れかと思います。
ホークスはこれから2020年以来4年ぶりの優勝を目指して戦っていくわけですが、その裏ではバチバチの残留争いが繰り広げられています。
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